そもそもカスハラとは

厚生労働省が作成した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(2022年2月)において、カスハラは次のように定義されています。

“顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの”

このうち、クレームの内容が妥当性を欠くものがカスハラに該当することは当然であり、皆様にとってもわかりやすいと思います。

要求の内容が妥当性を欠く場合の例

厚生労働省の同マニュアルでは、「顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例として、次のようなものが挙げられています。

  • 企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合
  • 要求の内容が企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合

これに対し、厚生労働省の上記定義においてむしろ重要なのは、仮に顧客のクレームの内容が妥当であったとしても、その要求における手段・態様が不相当であればカスハラに該当するという点です。

手段・態様が社会通念上不相当な場合の例

厚生労働省の同マニュアルでは、「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動」の例として、次のようなものを挙げています。

要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの

  • 身体的な攻撃(暴行、傷害)
  • 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
  • 威圧的な言動
  • 土下座の要求
  • 継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動
  • 拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)
  • 差別的な言動
  • 性的な言動
  • 従業員個人への攻撃、要求

要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの

  • 商品交換の要求
  • 金銭補償の要求
  • 謝罪の要求(土下座を除く)

たとえ企業側に不手際があったとしても
不当な要求を執拗に行うことはカスハラに該当しうる

仮に企業側に不手際があったとしても、土下座等の極端な場合は勿論のこと、対面や電話、メール等により、謝罪を繰り返し求めたり、長時間にわたって、又は叱責しながら、不当な要求を執拗に行うことカスハラに該当しうるのです。

これらのカスハラは、態様によっては、傷害罪(刑法204条)、暴行罪(刑法208条)、脅迫罪(刑法222条)、恐喝罪(刑法249条)、強要罪(刑法223条)、名誉毀損罪(刑法230条)、侮辱罪(刑法231条)、信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条)、威力業務妨害罪(234条)、不退去罪(刑法130条)といった犯罪に該当する場合もあります。

当事務所の特色

当事務所は、創設者の故淺田敏一弁護士を筆頭に、長年、暴力団対策に取り組んできました。暴力団による企業への要求は、まさに内容が理不尽なものや、暴行・脅迫など悪質な手段を用いたものが多く、当事務所はこれまで企業から多数の相談を受け、対応をしてきました。

そうした経験・ノウハウを生かして、当事務所では、暴力団組員か否かにかかわらず、企業に対する不当な要求・カスタマーハラスメントについても、企業から多数の相談を受け、対応をしております。

企業法務を取り扱う事務所は少なくありませんが、当事務所は、一般的な企業法務に加え、反社会的勢力対応やカスハラ対応についても注力している点が大きな特色であると自負しております。
カスハラについてお悩みの場合、ご相談頂ければお力になれると存じますので、気軽にご相談頂きたく存じます。