2024/11/21 公開
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例
令和6年10月、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が成立しました。
働く人の「安全」と「尊厳」を守るため「社会全体で」対応するための条例です(条例の前文、1条、3条)。
カスタマー・ハラスメントとは例えば「暴言」や「過度な要求」であり、ほかにも広く違法・不当な行為が含まれます(2条)。大声を出したり、威圧したり、侮辱したり、過度な謝罪を求めたり、過度に長時間に及んだり、スマホで撮影したりすることもカスタマー・ハラスメントです。
事業主はカスタマー・ハラスメント防止のため「主体的」で「積極的」な取組みを行わなければなりません。主体的・積極的な取組みとは、例えば「お客様から暴言や過度な要求があったときはお客様との対応を中止してよい」との会社方針を、社員に対し明確に打ち出すことです。それだけでも社員の心理的負担は軽くなります。さらに実際にカスタマー・ハラスメントがあったときは、事業主自身がカスタマー・ハラスメントをする者に対して「中止の申入れ」等を行なうことです(9条)。事業主自身が勇気を持てば、これらのことは必ずできます。
条例には事業者のマニュアル作成及び行政の相談体制整備等も定められており、まさに働く人の安全と尊厳を守るため社会全体で対応するものとなっています。
働く人を守る意識は、各地の自治体や国そのものでも高まっており、日本全体に広がっていくと考えられます。東京都の条例成立をよいきっかけにして、カスタマー・ハラスメントがない社会へと前進していきたいですね。
2024年11月21日
弁護士 米倉 正実